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『信長殺し、光秀ではない』 22


八切止夫氏は、サンカ研究などでも知られている人です。差別された人間の恨みにも似た思いが、真実追求の原動力であると思わされるような表現がよく出てきます。少なくとも、この著作では、真実というものは、国家が決めたり、多数の人間がそうだと言うからそうなんだというものではないと八切氏は述べています。



真実は雲なのか・贋作(149~159ページ)
<信長公記>の作者太田牛一が書いたとされる、<太閤さま軍記のうち>(もはや現存していない太閤軍記2巻から抜粋したものらしい。1冊に綴じられた本らしい。)に、<織田信長の最後>という短い1章について、解説がある。

---引用ここから---
これには、もはや、
「明智が(手の)者と見受けられ」などという表現は使わず、その者ずばりに、頭初から名を使っている。原文は、
「一、明智日向守光秀、小身たるを、信長公一万の人持ちにさせられ候ところ、いくばくもなくして御高恩を忘れ、欲にふけり、天下に望みをなし、信長御父子御一族のお歴々がいらか(瓦のごとく肩を)並べて居られた京本能寺において、六月二日に、情けなく討ち奉りをはむぬ(原文どおり)」
 これが全文である。伝わっているものは、用紙が、当時では高価だった鳥の子半紙を用い、でっちょ綴りに仕上げてあるといわれる。そうなれば、これは草稿や原稿ではない。「売り本」の体裁である。現行のように印刷して何万と刷って広告して、不特定多数の読者に売り捌(さば)くのとは訳が違う。一冊きりだから、もし相手に気に入らない個所があったら、せっかく書上げても、銭にならんのである。
 だから相手次第で内容も、違ってくるのは止むを得ない。とはいうものの、これがはたして大田牛一の物かどうかは、その奥書に、
「この一巻、大田和泉守、愚案(ぐあん)をかえりみず、これを綴る。頽齢すでにしずまって、渋眼をのごい、禿筆をそむるものなり」
 と、あまりにも尤もらしい事が書いてあるだけに、眉唾ものと考えさせられる。そんなに無理して書いたものなら、
「□□年□月」とか「大田牛一□十□歳」とでも入れるべきである。
 それに「大田和泉守」と堂々と入っているが、これまた変である。安土桃山期では、何々守とよぶのは、敬称つまり、他人が呼ぶ「他称」である。山科言継のことを「言継卿」とよぶようなもので、本人は日記に、そんな「自称」はしていない。もし、公文書上の署名ならば、「大田和泉守牛一」が正しい。でなければ、本名の「資房」か「又助」である。(宮本武蔵の「「五輪の書」の奥付に「武蔵守」と入っているから怪しまれて贋物と思われているのと同じである)
---引用ここまで---
<太閤さま軍記のうち>は、最古の秀吉の伝記として、文化財指定を受けているそうですが、さすが八切止夫、容赦のない追求です。
---引用ここから---
 道理で信長に仕える前から「溝尾庄兵衛以下何百という家士をもち、京の二条には、信長一行を何日も泊められる大邸宅のあった光秀」を、講談本なみに小身と書いている。
 そして、<信長公記>の本能寺では「素肌に湯かたびらの小姓達」と書いたのを失念してしまい、まるで「鎧武者でも並んでいたように、角ばった屋根瓦」で表現をしている。もしそうでなくて、お歴々と言いたいのなら、二条御所の方と書き違えている。
---引用ここまで---
このようなことから、八切氏は源内グループの贋作と睨んでいるようです。

次いで、秀吉の右筆であった大村由己の書いた「惟任退治記」について考察をしている。
八切氏は、文献名が< >で囲ったものは、資料扱いで、「 」で囲ったものは、資料っぽいが非なるものと分類しているので、
---引用ここから---
 なにしろ奥書に、その著作年月日が、
 水戸弘道館本は、天正十年十月十五日。
 続・群書類従本は、天正十年十月 日
 と出ているが、その十月十五日というのは、<言経卿記>や<兼見卿記>によれば、
「京の大徳寺にて、故信長公の葬儀。位牌は故信長公八男の長丸君、秀吉、次に太刀をもって従い、葬列美麗をつくす」とある当日である。
 まさか秀吉主宰の葬式に、家来であるところの、この作家は欠席をするわけにもいかず、原稿用紙と筆をもって、大徳寺で、きっと走り書きをしたのであろう。だから故人信長の葬式というのに、ずいぶんと可笑しな所が多い。
---引用ここまで---
と、まったく容赦がありません。
信長は夕方には女性を寵愛していたと大村由己は書いているそうですが、八切氏は、おそらく秀吉がそう書かなければ納得しなかったのだろうと考えています。

中国では、権力を握った人間は前任者の墓を暴いたり、前任者の悪事を暴いたりしていますが、秀吉にもそんなところがあったんでしょうか?
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